クルーズの夢と現実(最後のおまけ)

ダイヤモンドプリンセスは、ターミナルでの乗船手続きの時に各自にメダリオンというスマートデバイスを渡されます。
氏名の刻印入りで大きさは500円玉くらい。いつも首から下げているストラップについているのがこのメダリオンです。

メダリオンは、正確な位置情報で、近づくだけで自室のドアが自動で開いたり、スマホアプリでオーダーしたものを船内どこでも届けてくれたり、同行者の船内での位置確認できたり、キャッシュ決済ができたり、というなんでもアイテム。
停泊中は、乗客が乗船中か下船中かも、このメダリオンで管理されています。

私たち初心者の色は白ですが、何度も乗船したりスイートルームを利用するとどんどん色が変わり、最上位ステータスのメダリオンの色はブラックになります。
ブラックの人は、ちょっと得意そうに白メダルの新参者にトイレの場所など教えてくれます。
メダリオンの色でわかる、ちょっとした船内ヒエラルキーがあります。


船内にはランドリールームがあり、洗濯機・乾燥機が有料(それぞれ3ドル)で使えます。
ランドリールームのアイロンは無料で使えますが、防災のためか個人のアイロン持ち込みはできません。

ランドリールームを往復するのも面倒なので、今回持参したのは、100釣の小さなスプレーボトル。

水を入れて服のたたみジワに吹きかけておくと、室内は乾燥しているのですぐに乾いてシワも気にならなくなりました。

このアイデア、初めて思いつきましたが、これって旅の常識だった?



船内の社交の中心、グランドプラザです。
三階分が吹き抜けになっていて、優雅な階段とアール・デコ風のエレベーターがラグジュアリーな雰囲気をかもし出しています。

私はこの階段をシンデレラ気分で歩いていたところ、思い切りロングスカートの裾を踏んで危うくズッコケそうになりました。
優雅な空間で、多くの視線の中だけに恥ずかしさも倍増です。
慣れない服装の時は、写真右のエレベーターを使用するのが賢明です。



プールは室内と室外2箇所、他にスパプールなどもあります。

こちらは海の生物のモザイクが可愛い室内プールです。

思えば、荷物の中で一番無駄だったのが水着でした。

荷造りしている時は、プールでも海でも泳ごう!、と夢を膨らませていましたが、実際は暑くもない(20度くらい)のに水着に着替えてずぶ濡れになる気にならず一度も泳がずじまい。
思うことは皆同じなのか、泳いでいる人はそれほど多くありません。

プールには何ヶ所かホットジャグジーがありますが、お爺さまたちが何人かで入っている様子はまるで温泉風呂。
なんとなく一緒に入るのはためらわれました。

エレベーター内では、室内備え付けの白いバスローブを浴衣のように着た老夫婦がウロウロしていて一瞬目を疑ましたが、船内にはプールがあるためバスローブで歩くのはOKのようです。
かなり違和感がありましたが、ルール無視でなくて安心しました。

こちらは屋内プールに隣接する屋外プール。
大きなモニターからはコンサート映像や映画が流れ、ライブのコンサートタイムもありました。

この長椅子でのノンビリタイムが、私たちの一番お気に入りの場所になりました。


船内にはたくさんのアートが展示されて、自由に鑑賞できるギャラリーもありました。

この版画は、まさかピカソ?…と思ったら本当にピカソでした。
クルーズ船はアートだけでもずいぶん資産価値がありそうです。



アートオークションもありました。
競売人はすざましいテンションで喋り続けますが、参加できる気がしません。


オークションの途中で、客は並べられた作品を見ながら、気に入った作品に札をつけて行きます。
私たちも好みのアートを探してみましたが、残念ながら欲しいものには巡り会えませんでした。オホホ。

オークションでのやり取りなど全然聞き取れずチンプンカンプンですが、中には100万単位の金額で落札された(と思われる)ものもあったような。
クルーズしながら、ウン百万円のアートを衝動買い?!ってすごい世界をのぞいてみたものです。


ここは海を直に感じられるプロメナードデッキ(半屋外の歩行用デッキ)です。
デッキの椅子に座って海を眺めることもでき、上部には救命ボートが備え付けられています。
ボートが落ちてきたらアウトです。

クルーズにあたっては、誰もが思い浮かべるのが、映画の「タイタニック」。

ためにしチャットGPTに「ダイヤモンド・プリンセスの救命ボートは、いざという時には全員乗れますか?」と聞いたら「はい、乗客・乗員全員以上が乗れるように設計・配備されている」そうです。良かったです。


船内には本格的なカジノもあります。
ニカさんがカジノで夢中になっているオヤジを演じていますが、元々賭けは嫌いなので仮想体験してみただけ。

カジノはあまり賑わっている様子はありませんが、結構ハマっていそうなグループもいました。

絵画オークションも、カジノも、クルーズ船に乗らなかったら一生体験しなかったと思います。
気軽で安全に異次元の世界をのぞいて見られるのもクルーズも魅力かもしれません。


他にもダンスホールあり、卓球台あり、盆踊り教室あり、顔のシワ伸ばしやスキンケア講習あり、鍼治療カウンセリングあり、カラオケあり、70年代ダンスパーティあり、至る所でプロカメラマンの撮影ありと、退屈しないためのイベントが満載です。

でもどこか「お年寄り向けの思い出作り」な感じの流れです。

実際乗客はお年寄りが多く、車椅子の方も多かったです。

ニカさん曰く「クルーズは、お年寄りのディズニーランドだ!」

自分たちもその仲間なんだけどね。(*^^*)v


クルーズは10日間ですが、最後の日は慌ただしく終わってしまうことを下船の2日前に知らされます。
9日目の夜9時頃までに、大きなトランクはドアの外に出しておきます。
10日目は、朝8時までには全ての荷物をまとめて部屋を出なくてはいけません。
ビュッフェは9時半まで利用できますが、大きなトランクを受け取る時間が決まっているのでゆっくり食事できる雰囲気ではありません。

そして、クルー達はここから急ピッチで次の乗客のための準備を始めるのです。

ターミナルを後にする時には、もう次の乗客達が集まり始めています。
まさしくトコロテン方式。
今回のダイヤモンドプリンセスは、いっときも休むことなく次の航海を始めるようです。

チェックアウトして一歩船の外に出たら、私たちは船にとってはもうただの人。
少し寂しい気持ちも感じながら、10日間の夢から現実の世界へ戻って来たのでした。

帰宅して10日。
クルーズ船での夢のような日々の思い出は、今もあの海の上を漂っているように感じています。

ずいぶん長い旅行記に会ってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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コメント

  1. アトム より:

    興味津々の体験記ありがとうございました。
    「高齢者のディズニーランドで思い出作りの場」というのは言い得て妙ですね。
    でも施設や調度品など夢を壊すヤレなど全く無いようで完璧に管理されているのはさすが。
    水平線に太陽が落ち航跡が白く伸びる中、大空がマジックアワーに染まり、ロマンチックな感傷がこみ上げる、、なんて大海原ならではのシーンはありました?

    • ヨシコ より:

      >アトムさん
      ダイヤモンドプリンセスは40年も昔にできた船ですが、格式があって環境はにはとても満足しました。
      クルーも良く教育されていましたよ。
      ただ、乗客はほとんどが普通のお年寄りで、ロマンティックとはかけ離れた生活感満載。
      アップした写真は少しでも天気の良いところを選びましたが
      現実はほとんど雨か曇り、時には嵐。
      朝日は早起きできないので見るのは無理にしても、夕日の沈むシーンさえ見られませんでした。
       (▼▼#)

  2. 直子 より:

    うわぁ。
    いろんなことを知ったよ。
    メダリオン、そうか、そんな便利なものがあるんだ。
    それも色によって仕分けされてるなんてびっくり。
    あの人たちは初心者だなとか、旅慣れている人なんだなとか一目でわかるんだね。
    それからそうかなと思っていたけど洗濯もできるんだ。
    アイロンがわりのスプレーなんて私にはとても思いつかないわ。
    クシャクシャのまま着ているかも(笑)
    プールまであるなんて、屋内も屋外も。
    クルーズ船の大きさが想像を絶するよ。
    しかし無事に行って来れて良かったね。
    こうして記録に残しておくと何度も思い出せるね。
    おばさんとは10日間電話できなかったの?
    それとも毎日していたのかな。

  3. ヨシコ より:

    >ナオチャ
    クルーズは、お金をかけずに行こうと思えば結構お安くいけるよ。
    ナオチャも色々落ち着いたら、妹さんやイトコさん達と行ったら楽しそう。

    洗濯はランドリールームで3回したよ。
    これまでの旅行は毎夜手洗いしてたので、今回は楽だった。

    母のことが一番気がかりだったのよ。
    お嫁さんにはLINEで状況を連絡して、
    母とは横浜港を出発するまで電話で話して、数日間は諦めてもらって
    石垣島に着いた時や、那覇に着いた時は早速電話して、横浜港に戻った時もすぐ電話したよ。
    母と電話で話すたびに現実世界に戻されちゃうのが、なんだかね〜だったわ。(*^^*)

    この旅行記は、自分の老後の楽しみのためとも言えるよね。

  4. カネゴン より:

    旅行記、お疲れ様でした。
    見た事のない世界を一緒に体験させてもらった感じがして、とても楽しかったよ。
    私は旅行記を書くと、もう一度旅した気分になって好きだけれど、これだけまとめるのは大変だったね。
    それでも、これだけ詳しく記録に残せば、20年後になってもはっきり思い出せるよね。

    このメダリオンって部屋に置いて行ったら部屋に居る事になっちゃうから、途中下船の時も持って行くの?
    GPSで管理されているって感じもするけど、これが無きゃ迷子になっちゃうよね。

    この宮殿のような階段は、しゃなりしゃなり歩きたくなるよね。転げ落ちなくて良かったわ!(経験者は語る…)

    カジノはどうなのかな?って思っていたのよ。日本の領海では違法だから禁止って何かに書いてあったよ。
    ゲームをやっている人の後ろ姿は中国人?日本人?

    まだまだ聞きたい話がたくさんあるよ。
    落ち着いたらまた聞かせてね。
    くれぐれも旅とブログ書きの疲れを出さないようにね。

    • ヨシコ より:

      >カネゴン
      この10日間は、普通の生活プラス、旅行の片付け、旅行記作成、草むしりに芝刈りなど結構忙しかった。
      旅行記を書き終えて、ひと仕事終わった気分だよ。
      芝刈りの時のすごい格好見せちゃったわね。
      でもカネゴンからもらったピップエレキバンのお陰で肩の調子が楽みたい。
      ありがとうね。

      カジノも免税店も、航海中のみの営業なんだよ。
      カジノで賭けをやってるのは、アメリカ人か?多国籍の戦いか?
      やっぱり英語が話せると、どんな国の人とも会話が広がっていいよ。
      カネゴンはきっと私よりずっとクルーズを楽しめると思う。

      随分と長くたくさん書いてきたけど、また今度お食事でもしながら話そうね。
      楽しみにしているよ!