手作りモックアップ

プロダクトデザインでは、形状を確認する為に「モックアップ」を作ります。
デザインに馴染みの無い方には「外観形状確認用の模型」と表現した方がわかりやすいでしょうか。
これが、リアルで仕上げの美しいものは大変な技術と手間がかかると同時に、当然大変な高額でもあります。 腕時計をデザインしていた当時は、作成費用が一本100万円を軽く超えるという噂のモデルもありました。 中身は空っぽなのですが、本物の時計がたっぷり買える…どころか、車も買える価値です。 しかし高額試作費は、中小企業のモノ造りにとっては夢の価格。
そこはなんとか節約して、浮いた費用を他に回したいところです。

そんな中小製造業の強い味方が「東京都産業技術研究センター」 3Dデータを持参すれば、3Dプリンターなどでの試作に、格安で協力してもらえます。 しかし3Dプリンターの残念な所は、仕上がり面が荒い事。 成形したものを持ち帰った後には、丁寧に洗浄し、何度もサーフェイサーをかけ、磨きを入れてから塗装します。

このダンボールの塗装ドームも、ニカさんのお手製です。
折りたたみ式で、コンパクトに収納可能のスグレもの。
二階堂隆塗装-1.jpg

ドームの中はこんな感じです。
吹けば飛ぶような段ボール。
塗料が乾く途中で、強風で飛ばされない事を祈るばかりです。
塗装-2.jpg

一方、上のモデルにつける身体装着用のストラップの試作担当は私です。
ミシンであれこれ試行錯誤。 趣味も、思わぬところで役に立つものです。

二階堂美子の作業.jpg

上のモデルは、地域の小さな企業の商品企画への協力です。
アイデアと機能がとてもユニークで、将来性がありそうです。

「装着方式の検討」「外観デザイン」「モックアップ作成」「ネーミング」「パンフレットデザイン」「キャッチコピー」まで全てエルグデザインによるトータルデザイン! 製品化成功の暁には、きっと一層元気な企業になってくれると思います。

下の、スチレンボード(厚さ3〜5mmの、紙とスチロール樹脂のボード)を使った、こんなモックアップもニカさんのお手製です。
こちらは「このままの設計で進めると、こんな形状になってしまいます」という確認のためのモデルです。
モックアップを作る意味合いも様々です。
二階堂隆のモックアップ.jpg

手作りモックアップは、完成度や美しさではプロの技にはとてもかないません。
しかし、作る経過で調整が効く事。視覚的・体感的に確認でき製品化が想定できるという安心感は必要不可欠です。
見た目も綺麗なパーフェクトモデルも良いですが、多少不細工でも明るい未来を見据えるのは大切な事だなあ…と思うこの頃です。

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コメント

  1. カネゴン より:

    とてもやりがいのある仕事だね。
    どんなに綺麗でも、機械で作ったものよりも手造りのほうがずっと味があって良いよ。
    私のパッチだって、ちょっとブサイクにできても、何よりも一番だったもの‥
    ゴメン、「一緒にするなよッ!」って怒られちゃうわ。

  2. ヨシコ>カネゴン より:

    こうなってくると、デザイナーと言うよりも、
    何でも屋みたいだよね。
    でも毎日新鮮で飽きなくて楽しいよ。
    手作りのモックアップには特別な愛着が湧くよ。
    出来上がると間もなくクライアントに
    お渡ししてしまうのだけれど
    その時は少し寂しい気がするよ。
    パッチの作品のように手元に残せるといいんだけれどね。

  3. アトム より:

    可視化すると理解も深まるしアイデアも膨らみますね。今でも段ボールなどで作りますよ。
    今回のショーモデル費は1億円を超えました。それでもご祝儀価格という驚愕の世界・・

  4. ヨシコ>アトム より:

    モーターショーは、国民的なお祭りですものね。
    それにしても、ご祝儀価格で1億円超えはすごいです。
    ショー全体ではどれほど莫大なお金が動くのでしょう。
    こちらは、丸3つ(場合によっては丸4つ)くらい取った世界で頑張ります。
     (^.^)v